マスキング効果の実例
今回は内容がちょっと難しいのと文章も長いので、ある程度お時間のある時にどうぞ。
MP3やAACといった圧縮音源の音質に関する論争っていつになったら決着がつくんでしょうね。今回はちょっと別な方向から考察してみたいと思います。
圧縮していないWAVやAIFFであっても、音に違いがあるのに特定の条件の下では人間の聴覚では違いが分からなくなる事があります。
圧縮音源ではその部分の音を主に削っているわけで、だから聞いても区別がつかない(もしくは付きにくい)というのを、実際に聞いて実験してみたいと思います。
音があっても無くても聴感では変化がわからない状態。その1つがマスキング効果が起きている時です。
マスキング効果とは、
大きい音が鳴っていると、それより大幅に小さい音は大きい音にかき消されて聞こえづらくなる現象の事です。
大きい音と小さい音の周波数が近いほど、マスキング効果は出やすいと言われています。
具体的な例を作ってみたので解説していきます。実際にご自分の耳で聞いて確認して頂きたいと思います。
まず音が3つ出てきます。全部サイン波で、Native Instruments社のFM8というソフトシンセで作りました。DAWソフトはAbleton Liveです。
※厳密なサイン波ではない(若干のノイズ成分が含まれている)と思いますが、マスキング効果の実験用としては十分ではないかと思います。
・「音その1」 - 音階でB5、周波数は 988Hzです。
・「音その2」 - 音階でD6、周波数は1175Hzです。
・「音その3」 - 音階でB7、周波数は3952Hzです。
・「音その2」と「音その3」は、「音その1」より、音量を30dB小さくしています。
・「音その2」と「音その3」は、マスキング効果をわかりやすくするため、音が鳴る・止まるを一定間隔で繰り返すようにしています。
まずは、順番に1→2→3と聞いてみてください。
[example1]
ダウンロードはこちら
続いて、「音その1」と「音その3」を一緒に再生した場合です。
両方の音が聞こえると思います。
[example2]
ダウンロードはこちら
では、次が「マスキング効果」が現れる例です。「音その1」と「音その2」を一緒に再生しています。
[example3]
ダウンロードはこちら
「音その2」は聞こえていますか?「マスキング効果」(=「音その2」が聞こえづらくなる)がかなり出ていると思います。聞こえづらくはなるが、かすかに聞こえる程度ではないかと思います。
※これは聴力を試すのではなく、「マスキング効果」という現象を確認するための実験なので、その辺お間違えの無い様にお願いします。
次にこれにドラムのループ素材を重ねてみます。音が増えると小さい音は聞こえづらく感じると思います。
「音その1」、「音その3」、「ループ素材A」の3つを一緒に再生した場合です。
[example4]
ダウンロードはこちら
続いて「音その1」と「音その2」と「ループ素材A」の3つを一緒に再生した場合です。
[example5]
ダウンロードはこちら
「音その2」聞こえてますか?更に聞こえづらくはなったけど、まだかすかに聞こえている程度ではないかと思います。
別のループ素材でも試してみましょう。
「音その1」と「音その3」と「ループ素材B」の3つを一緒に再生した場合です。
「ループ素材B」はAよりもいろんな音程の音が多く詰まっているため「音その3」にもマスキング効果が出て、結構聞こえづらくなっていると思います。
[example6]
ダウンロードはこちら
続いて「音その1」と「音その2」と「ループ素材B」の3つを一緒に再生した場合です。
[example7]
ダウンロードはこちら
「音その2」聞こえますか?このあたりになると、ほとんど聞こえなくなっているのではないかと思います。
では今度は、ここから「音その2」を取り除いてみます。
「音その1」と「ループ素材B」の2つのみを一緒に再生した場合です。
[example8]
ダウンロードはこちら
1つ上の[example7]と聴き比べて違いが判別できますか?
おそらく、精度のいいスペアナで「見たら」違いは分かると思います。
もう1つオマケです。
「音その1」と「音その2」と「ループ素材B」の3つを一緒に再生した場合ですが、「音その2」の音量を更に10dB下げて、-40dBにしてみました。
[example9]
ダウンロードはこちら
[example7]、[example8]、[example9]の3つの違い、聞き分けられますか?
以上で実験は終わりです。
ここまでのテスト音源は一切圧縮はしていません(全部16bit/44.1kHzのWAV形式)が、音が聞こえなくなる(聞こえづらくなる)のを実感できましたか?
聴力は個人差があるものなので結果は人それぞれだとは思いますが、マスキング効果自体は実感して頂けたのではないかと思います。
この効果を利用して(実際にはもっともっと複雑な事をやっていますが、理論を理解するのはとても難しいと思います。私も専門家ではありませんし、まだまだ理解が足りません)聴こえづらい音を一定の法則に従って省略して、データ量を減らしているのが圧縮音源の原理です。
※興味のある方はLAMEなどのエンコーダは(プログラムの)ソースコードが公開されていますので、中身を解析してみてはいかがでしょうか。
感想や更なる考察などおありの方いらっしゃいましたら、TwitterID: @PCDJ_info_JP でお待ちしています。
MP3やAACといった圧縮音源の音質に関する論争っていつになったら決着がつくんでしょうね。今回はちょっと別な方向から考察してみたいと思います。
圧縮していないWAVやAIFFであっても、音に違いがあるのに特定の条件の下では人間の聴覚では違いが分からなくなる事があります。
圧縮音源ではその部分の音を主に削っているわけで、だから聞いても区別がつかない(もしくは付きにくい)というのを、実際に聞いて実験してみたいと思います。
音があっても無くても聴感では変化がわからない状態。その1つがマスキング効果が起きている時です。
マスキング効果とは、
大きい音が鳴っていると、それより大幅に小さい音は大きい音にかき消されて聞こえづらくなる現象の事です。
大きい音と小さい音の周波数が近いほど、マスキング効果は出やすいと言われています。
具体的な例を作ってみたので解説していきます。実際にご自分の耳で聞いて確認して頂きたいと思います。
まず音が3つ出てきます。全部サイン波で、Native Instruments社のFM8というソフトシンセで作りました。DAWソフトはAbleton Liveです。
※厳密なサイン波ではない(若干のノイズ成分が含まれている)と思いますが、マスキング効果の実験用としては十分ではないかと思います。
・「音その1」 - 音階でB5、周波数は 988Hzです。
・「音その2」 - 音階でD6、周波数は1175Hzです。
・「音その3」 - 音階でB7、周波数は3952Hzです。
・「音その2」と「音その3」は、「音その1」より、音量を30dB小さくしています。
・「音その2」と「音その3」は、マスキング効果をわかりやすくするため、音が鳴る・止まるを一定間隔で繰り返すようにしています。
まずは、順番に1→2→3と聞いてみてください。
[example1]
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続いて、「音その1」と「音その3」を一緒に再生した場合です。
両方の音が聞こえると思います。
[example2]
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では、次が「マスキング効果」が現れる例です。「音その1」と「音その2」を一緒に再生しています。
[example3]
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「音その2」は聞こえていますか?「マスキング効果」(=「音その2」が聞こえづらくなる)がかなり出ていると思います。聞こえづらくはなるが、かすかに聞こえる程度ではないかと思います。
※これは聴力を試すのではなく、「マスキング効果」という現象を確認するための実験なので、その辺お間違えの無い様にお願いします。
次にこれにドラムのループ素材を重ねてみます。音が増えると小さい音は聞こえづらく感じると思います。
「音その1」、「音その3」、「ループ素材A」の3つを一緒に再生した場合です。
[example4]
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続いて「音その1」と「音その2」と「ループ素材A」の3つを一緒に再生した場合です。
[example5]
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「音その2」聞こえてますか?更に聞こえづらくはなったけど、まだかすかに聞こえている程度ではないかと思います。
別のループ素材でも試してみましょう。
「音その1」と「音その3」と「ループ素材B」の3つを一緒に再生した場合です。
「ループ素材B」はAよりもいろんな音程の音が多く詰まっているため「音その3」にもマスキング効果が出て、結構聞こえづらくなっていると思います。
[example6]
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続いて「音その1」と「音その2」と「ループ素材B」の3つを一緒に再生した場合です。
[example7]
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「音その2」聞こえますか?このあたりになると、ほとんど聞こえなくなっているのではないかと思います。
では今度は、ここから「音その2」を取り除いてみます。
「音その1」と「ループ素材B」の2つのみを一緒に再生した場合です。
[example8]
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1つ上の[example7]と聴き比べて違いが判別できますか?
おそらく、精度のいいスペアナで「見たら」違いは分かると思います。
もう1つオマケです。
「音その1」と「音その2」と「ループ素材B」の3つを一緒に再生した場合ですが、「音その2」の音量を更に10dB下げて、-40dBにしてみました。
[example9]
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[example7]、[example8]、[example9]の3つの違い、聞き分けられますか?
以上で実験は終わりです。
ここまでのテスト音源は一切圧縮はしていません(全部16bit/44.1kHzのWAV形式)が、音が聞こえなくなる(聞こえづらくなる)のを実感できましたか?
聴力は個人差があるものなので結果は人それぞれだとは思いますが、マスキング効果自体は実感して頂けたのではないかと思います。
この効果を利用して(実際にはもっともっと複雑な事をやっていますが、理論を理解するのはとても難しいと思います。私も専門家ではありませんし、まだまだ理解が足りません)聴こえづらい音を一定の法則に従って省略して、データ量を減らしているのが圧縮音源の原理です。
※興味のある方はLAMEなどのエンコーダは(プログラムの)ソースコードが公開されていますので、中身を解析してみてはいかがでしょうか。
感想や更なる考察などおありの方いらっしゃいましたら、TwitterID: @PCDJ_info_JP でお待ちしています。



















